クロカゴメさんの口コミ投稿

　今週の「週替わり丼」はロコモコだ。　先週のように「終わっちゃいました」は何としても回避しなければならない。　それには早く行くしかないのだが、混み合った店内で食事をするのはあまり好きではない。　そこで、一般的な昼休憩時間もそろそろ終わろうかという時間を設定した。
　
　いつものようにそこそこ思い鉄扉を押し開けると、意外にも店内は混み合っている。　フロアに足を進めたが、むしろ一番出入り口に近いテーブルを案内された。　もともと広い店内ではないが、これが案外に落ち着く。　テーブルとの距離感もいい、壁側のソファに腰を下ろし「週替わり丼」をオーダーする。　もちろんいつもの＋100円デザートセットだ。
　
　極度にロコモコを欲している胃袋はサラダを事務的に取り込んではいるが、丼がテーブルに運ばれてくるまでに収めきることが出来なかった。　はやる気持ちを抑えつつフォークを握る手首の回転数を上げる。
　
　さて、、、丸い器をくるくるとさせながら、盛られた３点の具材の配置を観察し、一番バランスの良さそうなアングルで固定する。　そして目玉焼きにスプーンを割り込ませれば、トロっと溢れ出た黄金のソースが一部はご飯に自然とからみつき、残りは器の底でもったいぶりながら出番を待つ。　次に垂直に立て、ハンバーグの中心に近い部分をざっくりとこそぎ口に運ぶ。　が、待ちきれんと言わんばかりに、調度よく開けられた上下の唇が一足早くそれを吸い込む。　均一に火の通ったロコモコに最適のそれは、気品豊かな獣臭を放ち、口腔粘膜を共鳴させ存在をアピールする。　グレイビーはご飯にこそふりかけられ、調和のとれた具材の関係を優しく見守る。　新鮮なしゃきしゃきのレタスはスタッカート気味に食感にメリハリを与える。　雑穀入り米と具材を小気味よく16分に刻んで強弱をつけながら喉を通らせれば、ねっとりとからまった黄身は、美味の余韻が少しでも長引くようにと心地よいビブラートを披露してくれる。　実に旨い！　
　
　ハンバーグとグレイビーがヴァイオリン１と２、ヴィオラ役はレタスに任せて、目玉焼きがチェロ、そして全てを受けとめるご飯はオーディエンス...小技の利いた弦楽四重奏を聴衆までひっくるめて堪能した帰路、どんぶり分の重みを増した胃袋とは裏腹に、その足どりはやけに軽かった。